言った言わない問題 

 

とうとう、魔のゴールデンウィークに突入してしまいましたね。(汗)
発達障害夫と同居しておられるカサンドラ妻の皆さん、大丈夫ですか?
夫がパニックを起こさないように、普段以上に気を遣い、神経を尖らせ、
なんとか平和に休暇が終わることのみを祈っておられることと思います。
でも、なかなかそうはうまくゆかない現実。本当にご苦労様です。
長期戦ですから、夫と一緒に過ごす時間を何とか減らすよう努力してくださいね。
妻が一人になってほっとできる時間を確保することも大切です。

さて、今日は「言った言わない問題」について。
これは、発達障害特性を持つ家族との生活の中では、
切っても切れない問題と言ってもよいのではないでしょうか。

確かに夫が言った(しかも、ついさっき)ことを踏まえて、こちらが何か発言したとき、
「どういうことや!」「俺はそんなことは言ってない!!」などと、
いきなりブチギレられ当惑した…という経験をお持ちのカサンドラ妻は多いでしょう。

「いやいや、さっき言ったやん」
「え? 自分が今言ったことを『言ってない』っていうのは、どういうことなの!?」
などと、まるでこちらの脳みそがおかしくなってしまったのではないかという不安に陥り、
突然、どこか別の星に連れて来られたかのような思いを繰り返す私。
夫に「発達障害特性がある」ということを知るまでは、
このわけのわからない状況が全く理解できず、呼吸がしにくかった記憶があります。

うちの夫の場合は、丸1日の記憶がすっぽり抜け落ちてしまうことも何度かあり、
「発達障害」という言葉を知らない時は、「若年性認知症」を疑い、
自治体などが主催する認知症講座などにも何度か通い、勉強していたことがあります。
発達障害にしろ、認知症にしろ、脳の検査に夫が進んで出向くことはありませんから、
夫をサポートする側が行動を起こさざるを得ないのが実情です。

この「言った言わない問題」というのは、発達障害の脳の問題に原因があります。
確かに、夫は自分が興味を持っている分野に関する記憶力は優れているように思います。
たとえば、鉄道模型に関しては、相当多くの知識を持っていると感じています。
他にも、車やバイク、ジャズに関する知識も豊富です。
だがしかし、興味のないことや妻の他愛ない話なんかは、ほとんど覚えていない。(汗)

夫の診断の結果では、(通常、発達障害の人は視覚優位と言われているにも関わらず)
「視覚・聴覚ともに短期記憶が弱い」「ワーキングメモリの働きが弱い」ということでした。
つまり、目からの情報も、耳からの情報も、どちらも「記憶」として定着しにくいということ。
非常に残念な現実でした…。

記憶というのは、
短期記憶 (→ 近時記憶) → 長期記憶 という流れで定着していくのですが、
(専門的な用語の使用法とは少々異なっていますので、ご了承ください)
最初の「短期記憶」がまともにできないとなれば、
本人が興味を持たないことについて記憶として定着させることは、
正直、相当難しいと思わなければならないでしょう。

ほんの数分前に自分で言ったことを忘れたり、
ほんの数分前に誰かから聞いたことを忘れてしまう夫との会話は、
本当にイライラしたり、会話が成り立たなかったりで疲れてしまいますよね。
でも、彼は憶えたくないのではなく、憶えられないのです。
要は、脳の機能がきちんと働いていないから。

そんなことは全く知らず、普通の人だと思って結婚生活を送ってきた私は、
夫婦二人だけの思い出を一生懸命積み重ねてきた時間が、
すべて無駄だったんだ…(つまり、夫にはそのほとんどが記憶されていない)
という事実を知ったとき、、本当に受け入れ難く辛かったです。

もちろん、お互いに喧嘩したり傷つけあったりして、「嫌な思い出」もたくさんあります。
でも同時に、笑い合ったりした楽しい思い出もたくさんあるのです。
少なくとも、私の記憶の中にはたくさん残っています。
しかし、夫の脳に残っている記憶の大半は「嫌な記憶」なのです。
この事実は、非常に残念だとしか言えません。

発達障害者に限らず、ネガティブな記憶ほど忘れにくいといわれています。
そして夫の場合は、発達障害特性を原因としたパニックを何度も起こしている間に、
さらにその嫌な記憶が繰り返し想起されることにより、強烈な記憶になるのでしょう。
だから、「楽しかった旅行の思い出話をしよう」と私が夫に話を切り出すと、
夫は「あのときはこんな喧嘩をした」「あのときお前はこう言った」だの、
妻を責める言動が始まり、楽しい思い出話をするはずが、文句しか言われない結果に。 (涙)

夫婦としての楽しくてポジティブな歴史はたくさんあるにもかかわらず、
彼が常に「被害者」という立場から離れられないのは、
彼の脳には「イヤ」で「辛かった」思い出ばかりが残ってしまうからなのだろうと思います。
私たち定型発達者も、当然嫌な思い出は消えにくいものですが、
楽しい思い出が記憶に残らないということはありません。

夫婦間での「言った言わない問題」は、彼の発達障害脳が変化しようがないのだから、
彼と一緒に生活する限り、確実について回る問題です。
避けて通ることができないわけです。
夫婦として、他愛ない思い出話をすることすら、私には許されない。
大きな夢を語っているわけではない。些細な幸せが欲しいだけ。
でも、それすら私は得られない。
そんな「(一見)小さな(と感じられる)ストレス」が、毎日粉雪のように心の中に降り積もり、
私たちカサンドラ妻の心は、氷のように硬く冷たく固まっていくのでしょう。



~つづく~







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category: 発達障害特性

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